フィンランドのSDGsへの取り組み|達成度ランキング
フィンランドという国をご存じでしょうか?フィンランドはオーロラ鑑賞やサンタクロース村など観光スポットが豊富で、自然が多いことでも有名な国です。
また、国民が暮らしやすい制度なども整っており、「世界で一番幸せな国」とも言われています。
自然や国民を大切にするフィンランドは、SDGsへの取り組みにも積極的なため、現在SDGs達成度ランキング1位を獲得しています(注1)。
この記事では、SDGs達成度ランキング1位のフィンランドの特徴や取り組み、その他のランキング上位国の活動についてもご紹介します。
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CONTENTS
SDGs達成度ランキング1位フィンランドとは?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに達成したい国際目標として、世界各国でさまざまな取り組みが行われています(注2)。
SDGs達成度ランキング1位のフィンランドは、以下のような特徴を持つ国です。
- 国土の70%以上が自然にあふれている
- 海外では珍しい飲める水道水
- さまざまな福祉制度が充実している
自然にあふれているだけでなく、国民が暮らしやすい制度も整っています。
国土の70%以上が自然にあふれている
フィンランドは国土の70%以上が森で覆われており、自然にあふれています。自然に関する教育を受け、環境を守りながら共存しているのです。
また、フィンランドには「自然享受権」という自由に食物を採取できる権利があり、国民に限らず観光客にも許されています。
海外では珍しい飲める水道水
フィンランドは海外では珍しく水がとてもきれいなため、水道水を飲むことができます。水道水が飲めることにより、マイボトルを持参する行動が国民に定着しています。
マイボトルを活用していることで、ミネラルウォーターなどのペットボトル飲料を購入する必要がありません。そのため、ペットボトルゴミの排出量を抑えることに成功しています。
さまざまな福祉制度が充実している
フィンランドではさまざまな福祉制度が充実しています。その理由は、日本と違い税金が高く設定されているからです。
現在、日本の税率は10%なのに対して、フィンランドの税率は20%を超えています(注3 p.19)。税金が高いと聞くとデメリットのように感じるかもしれませんが、その逆で税金を多く払うことで福祉制度を充実させることができているのです。
医療や教育の面で国民の負担が軽減されており、フィンランドではメリットとして考えられています。
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フィンランドのSDGs取り組み事例
フィンランドのSDGsの取り組みは、以下のとおりです。
- 二酸化炭素排出量の削減
- 食品ロスの削減
- レスポンシブルツーリズム
環境に配慮するために、積極的に取り組みを行っています。豊かな自然を守るためには、国民はもちろんのことフィンランドを訪れる観光客の協力も必要とされています。
二酸化炭素排出量の削減
フィンランドは、二酸化炭素削減に取り組んでいます。
化石燃料は発電する際に有害物質やガスが発生します。その発生を抑えるために、電力供給の90%がグリーンエネルギーに取り入れられ、SDGsの目標達成に向けた貢献材料となっています。
グリーンエネルギーとは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどから作られるエネルギーのことです。環境への負担が少なく、地球温暖化へ配慮したエネルギーといえます。
食品ロスの削減
フィンランドは食品ロスの削減にも取り組んでいます。その理由は、食を大切にする文化があるためです。
首都であるヘルシンキには一切ゴミを出さないレストランがあり、生ゴミもコンポスティングにより堆肥(たいひ)として再利用する仕組みが採用されています。
レスポンシブルツーリズム
フィンランドでは、レスポンシブルツーリズムが取り組まれています。
レスポンシブルツーリズムとは、「責任ある観光」と訳され、環境などに与える影響に対して責任を持つべきであるという考えのことです。
住んでいる国民も、旅行で訪れた観光客も、すべての人が環境に配慮した行動をとることを心がけています。
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SDGs達成度ランキングその他の上位国
フィンランド以外のSDGsランキング上位国の取り組みを順番にご紹介します。
- 2位:デンマーク
- 3位:スウェーデン
- 4位:ノルウェー
- 5位:オーストリア
- 6位:ドイツ
このランキングを見てわかるように、SDGsの取り組みが盛んに行われている上位国はヨーロッパが占めています。日本は19位で、上位の国と比較するとまだ達成度が低い現状にあります(注1)。
ランキング上位国の取り組みを今後の参考にしてみてはいかがでしょうか。
2位:デンマーク
デンマークではオーガニック食材の利用率が高く、食品ロスの問題にも取り組んでいます。
持続可能な食品であるサステナブルフードが注目されており、オーガニック食材もその一つとされ、SDGsに貢献しているとみなされているのです。
また、廃棄物を出さない取り組みやESG投資、政府の産業支援など、さまざまな角度から積極的に取り組みが行われています。
産業支援には、再生可能エネルギーの使用や「デンマークグリーン投資基金」があり、環境に配慮した活動を行っている企業が対象とされています(注4)。
3位:スウェーデン
スウェーデンは政府や企業だけではなく、国民も含めた国全体で、環境・ジェンダー・福祉について積極的に取り組んでいます。
環境に対する取り組みとしては、2040年までに発電のすべてを再生可能エネルギーにすることや、2045年までに温室効果ガスの排出量ゼロにすることを目標としています。
また、ジェンダーレスについても取り組みが進んでいるといえるでしょう。女性雇用促進率がEUのなかでもトップを誇っており、女性も役職に就いて活躍できる体制が整っています(注5)。
4位:ノルウェー
政府が2025年に排ガスゼロ車にする目標を掲げています。電気自動車の販売比率が80%を超えて世界一を誇っており、目標に向けて着実に進んでいます(注6)。
また、「デポジット制度」を導入したことで、ペットボトルのリサイクル率が97%と他国を大きく上回っています(注7)。
「デポジット制度」とは、預り金(デポジット)を上乗せして製品を販売し、製品を使用後、回収する際に現金やポイントで預り金が返金されるシステムです。
プラスチックを製造する業者には環境税が課され、プラスチックをリサイクルできると課税率が減るという仕組みもあります。このような取り組みから回収率を上げ、サステナブルなライフスタイルを定着させています。
5位:オーストリア
SDGsは2015年に採択された国際目標ですが、オーストリアは各国よりも早く2013年からSDGsに取り組む施策を打ち出してきました(注8)。
オーストリアは9つの州から構成されており、それぞれが企業や市民に浸透するよう独自の施策をしています。
施策の内容は進行状況をモニタリングしたり、優秀な企業には表彰制度を設けたりするなど、積極的かつ持続的に取り組んでいます。
6位:ドイツ
ドイツには「物を大切にする」という文化があり、子どもも参加できる取り組みが充実しています。5つの「RE」から始まるステップで、サステナブルな生活を取り入れています。
- 「RETHINK」~使えるものは貸し借りする
- 「REFUS」~買い物をしない日を作る
- 「REDUCE」~代替品で無駄を省く
- 「REUSE」~捨てる前にもう一度生かす
- 「RECYCLE」~最終的にリサイクル
このような取り組みを行うことで物を最後まで使い切り、無駄を削減し、環境に配慮しています。
フィンランドのSDGsへの取り組みを参考にしよう
フィンランドが自然を保ち、住みやすい環境を維持しているのは、国民一人ひとりが環境に配慮した行動や取り組みに対して理解しているからだといえます。
自社でSDGsの導入を検討する際には、世界各国の事例を参考にされてはいかがでしょうか。
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参考(出典):
注1 Rankings The overall performance of all 193 UN Member States(2022)|SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT
https://dashboards.sdgindex.org/rankings
注2 持続可能な開発目標(SDGs)|公益財団法人 日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/sdgs/
注3 フィンランド経済の概要(p.19)令和2年7月|外務省 在フィンランド日本国大使館経済班
https://www.fi.emb-japan.go.jp/files/100235195.pdf
注4 特集:欧州で先行するSDGs達成に寄与する政策と経営 政府と連携した開発途上国でのSDGsビジネスが盛ん(デンマーク)|独立行政法人日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/1101/a3b5f508959d94ea.html
注5 特集:欧州で先行するSDGs達成に寄与する政策と経営 環境を中心に、政府、社会、企業が先進な取り組み(スウェーデン)|独立行政法人日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/1101/de901b205d265bda.html
注6 EV販売比率80%超のノルウェー、気になる日本車の存在感は?|日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/060900133/
注7 UK ‘could adopt’ Norway bottle recycling system|BBC NEWS
https://www.bbc.com/news/science-environment-42953038
注8 特集:欧州で先行するSDGs達成に寄与する政策と経営 経済界から市民レベルまで、SDGsが幅広く浸透(オーストリア)|独立行政法人日本貿易振興機構
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/1101/719a40189174849d.html
ーこの記事を書いた人ー
COO
堀田 蔵人
(KURODO HOTTA)
1988年生まれ。東京都出身。
大学卒業後は伊勢丹グループ会社に入社。営業・事務・システム等の幅広い業務を経験する。29歳の時、さらに自分が成長できる環境を求めて、大学の同級生の豊泉が代表を務めるBuyingへ転職。Buyingでは、全国の中小企業のコスト削減支援を担当。約4年間で累計1億9,151万円の削減に成功する。現在はCOOとして、会社全体の業務を統括する。
社内ではWEB広告運用等を担当する傍ら、実務ではコスト削減支援のみならず、都内の大手社会福祉法人への顧問コンサルティングも行っている。
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