SDGs経営ガイドとは?利用状況や活用のポイントも解説!
SDGs経営ガイドをご存じでしょうか。簡単に説明すると、企業がSDGs経営を実践するための教科書です。
SDGsは国際目標であり、目標を達成するためには企業も積極的に取り組みを行っていく必要があります。
本記事では、企業にSDGs経営が必要な理由やSDGs経営ガイドについての利用状況、活用のポイントなどをご紹介します。
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CONTENTS
なぜSDGs経営が必要なのか
SDGs経営が必要な理由には、以下の2点が挙げられます。
- SDGsとは「持続可能な開発目標」
- SDGs経営にはメリットがある
SDGsの導入を検討する際、SDGsについてしっかり理解しておく必要があります。内容が理解できていないと、自社で取り組む活動を決められなかったり、実際に導入を始めても継続できない可能性があります。
SDGsは経営に関してもメリットがあるため、まずは必要性を理解するところから始めましょう。
SDGsとは「持続可能な開発目標」
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」の略であり、2015年に国連サミットで採択されました。17の目標と169のターゲットから構成されており、世界におけるさまざまな問題解決を目指すものです(注1)。
SDGsの前身にはMDGs (Millennium Development Goals)「ミレニアム開発目標」があり、2001年から2015年までに達成したい国際目標として、8の目標と21のターゲットで構成されていました(注2)。
MDGsで解決しきれなかった課題に対して、より強化された取り組みがSDGsなのです。
SDGs経営にはメリットがある
SDGsを活かした経営は、社会貢献ができるだけではなく、企業にとって以下のメリットがあります。
- 企業のイメージ向上
- 商品やサービスのイメージ向上
- 新たなビジネスチャンス
- 資金調達に有利
- 人材の確保に有利
SDGsに積極的に取り組むことで、ステークホルダー(株主・経営者・従業員・顧客・取引先など)からの信頼が得られ、イメージの向上に期待ができます。
また、SDGsの活動に注目した金融機関の融資や投資家からの資金調達という面でも有利になると言えるでしょう。
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SDGs経営ガイドとは
SDGs経営ガイドとは、2019年5月に経済産業省から発行されたSDGs経営のための参考書と言えるものです。幅広い分野のステークホルダーが結集し、SDGs経営とESG投資について議論した結果をまとめたものになります(注3)。
ビジネスの力で社会課題の解決と企業価値向上を狙う企業・投資家・政府・関係機関などに対し、今後の取り組みの羅針盤として活用してもらうことを目的として発行されました。SDGs経営ガイドの概要は、以下のとおりです。
Part1 SDGs 価値の源泉 | ・企業にとってのSDGs ・投資家にとってのSDGs ・マルチステークホルダーとの懸け橋 |
Part2 SDGs 経営の実践 | ・社会課題解決と経済合理性 ・重要課題(マテリアリティ)の特定 ・イノベーションの創発 ・科学的かつ倫理的な検証と評価 ・長期視点を担保する経営システム ・価値創造ストーリーとしての発信 |
すでにSDGsを導入している企業をビジネスモデルとして、活動事例を取り入れながら解説されています。
SDGs経営ガイドの利用状況
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が上場企業向けに行ったアンケートには、SDGsを認識して実際に取り組みを行っている企業が87.7%という結果が出ました(注4)。
(出典:「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」|年金積立金管理運用独立行政法人)
その中で、取り組みの参考にしているものを調査したところ、62.8%の企業がSDGs経営ガイドを参考にしているという結果が出ています。
(出典:「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」|年金積立金管理運用独立行政法人)
他にも、環境省の持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(注5)や、SDG Compass(注6)などが取り組みの参考にされています。
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SDGs経営ガイドのポイント
SDGs経営ガイドには、実践するための6つのポイントが挙げられています。経営ガイドをうまく活用することで自社のSDGs導入がスムーズに行えるとされています。
- 社会問題解決で経済合理性の創出
- 自社で可能な重要課題の特定
- イノベーションの重要性
- 多面的な検証で評価を得る
- 長期的な経営システム
- ステークホルダーへの的確な情報発信
社会問題解決で経済合理性の創出
経済合理性 とは、経済的な価値基準に沿って倫理的に判断した場合、利益があると考えられる性質・状態のことです。
解決されていない社会課題に取り組むことは、経済合理性の観点では、見過ごされてきた市場を知るきっかけになります。
未開拓の市場にアプローチして課題の解決とビジネスを両立させることは、求められているSDGs経営の姿とも言えるでしょう。
自社で可能な重要課題の特定
自社で取り組みが可能な重要課題を見極め、特定することが必要です。SDGs17の目標に対し、目標1つひとつを達成しようとすることは大切ですが、規模やコストも増大し、煩雑になってしまう可能性があります。
しかし、自社が実施可能な課題を軸に考えると、1つの課題に対して複数の目標達成に向けた取り組みが行える場合もあります。重要課題の特定ができると、本業を活かすことができ、効率的なSDGsへの貢献ができるでしょう。
イノベーションの重要性
イノベーション とは、新しいサービスや製品を生み出すことを意味します。未解決の課題と向き合うためには、新たなイノベーションを生み出し、新規事業に結びつけることが必要です。
自社だけで解決することが難しければ、他の企業と連携を行い、協創することがイノベーションの創出につながります。そのためには経営者が責任を持ち、積極的に関わって事業を進めていくことが重要と言えます。
多面的な検証で評価を得る
多面的な視点で検証することで、ステークホルダーからの評価を得ることも重要です。一面だけに注視するのではなく、視点を変えて全体的に物事を見渡すことで、見えていなかった部分が他に良い影響をもたらしていることに気付ける場合もあります。
そのためには、科学的、倫理的な検証の徹底が求められます。価値観を幅広いステークホルダーに共有するためには、国際基準を積極的に活用し、狙える市場を世界に広げることが大切と言えるでしょう。
長期的な経営システム
SDGsは持続可能な開発目標であり、企業も長期的に取り組むことが求められます。企業が長期的に取り組むためには、長く引き継げる仕組みをつくることが必要と言えるでしょう。
仕組みがあれば企業の目的・意義・課題などが定まり、たとえ経営者が変わっても、企業の取り組みを継続させていくことが可能です。
長期的な経営システムがあれば、揺るがない経営が実現でき、企業に投資する投資家にも安心感を与えることができます。
ステークホルダーへの的確な情報発信
企業は価値創造ストーリーを、ステークホルダーへ的確に発信することが大切です。価値創造ストーリーとは、経営理念やビジョンの実践により、経営や社会的課題の解決に向けた方向性をストーリー仕立てにわかりやすくまとめた情報のことを指します。
海外には積極的にわかりやすく発信する企業が多い状況ですが、日本は控えめで自社の取り組みを的確に発信することが苦手とされています。国際的なつながりを意識した活動をするためには、積極的かつ的確に伝えることが重要です。
また、ステークホルダーに発信する際は、全対象にするのではなく、選ばれたい相手、つまりはターゲットとする相手に刺さるメッセージにすることが大切です。
SDGs経営ガイドを活用しよう!
SDGs経営を自社に取り入れる際は、SDGs経営ガイドを活用するとよいでしょう。SDGsの取り組みに、企業の規模は関係ありませんし、SDGs経営は企業の利益となります。
弊社は、SDGsのコンサルティングサービスを行っており、SDGs経営導入についてのお手伝いが可能です。ぜひご活用ください。
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参考(出典):
注1 SDGsとは?|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
注2 ミレニアム開発目標(MDGs)|公益財団法人 日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/mdgs/
注3 SDGs経営ガイド|経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003-1.pdf
注4 「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」|年金積立金管理運用独立行政法人
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/stewardship_questionnaire_07.pdf
注5 すべての企業が持続的に発展するために−持続可能な開発目標(SDGsエスディージーズ )活用ガイド−|環境省
https://www.env.go.jp/content/900498955.pdf
注6 SDG Compass|公益財団法人 地球環境戦略研究機関
https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf
ーこの記事を書いた人ー
営業推進部
石川 智巳
(TOMOMI ISHIKAWA)
1989年生まれ。東京都出身。平井(江戸川区)育ち。
大学卒業後は、地域振興に携わるため金融機関に新卒入社。しかし、本当に困っている企業の力になれない、金融機関特有のしがらみに違和感を感じ、顧客に寄り添ったサービスを提供したいとBuyingへ転職。現在、自分の力で地元江戸川区を救うべく奮闘中。分析・調査のスキルは社内一。実務だけでなく、IT関連の業務も行う。また、フルリモートにともなう社内のIT化を進め、補助金活用支援も得意とする。
データベースの構築・運用・分析を主軸に行い、その正確性とスピード性、几帳面さで高い評価を誇る。
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