アパレル業界がSDGsに取り組む理由|企業の事例も紹介!

2023/01/10 堀田 蔵人
アパレル業界がSDGsに取り組む理由|企業の事例も紹介!

近年、SDGsの取り組みを行う企業が増えていくなかで、アパレル業界においてもさまざまなブランドやメーカーが参入しています。生産から廃棄に至るまで、アパレル業界とSDGsの目標には密接な関係性があるのです。

本記事では、アパレル業界がSDGsに取り組む理由や、実際にSDGsを導入している企業の事例をご紹介します。

 

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CONTENTS

アパレル業界がSDGsの取り組みを行う理由

アパレル業界がSDGsに取り組む理由は、以下のとおりです。

  • SDGsに関連する課題がある
  • 環境問題
  • 海洋汚染
  • 労働問題

近年、衣類を生産する工程において環境負荷を減らし、持続可能性を高める「サスティナブルファッション」が注目を集めています。消費者の関心も高く、購入する際の判断基準になることもあるのです(注1)。

SDGsに関連する課題がある

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連サミットで策定された国際目標です。「誰ひとり取り残さない」ことを目標に、世界が抱える環境・社会・人権などの問題解決に向けた取り組みです(注2)。

アパレル業界は「大量生産・大量消費・大量廃棄」など、SDGsに関連したさまざまな問題を抱えています。衣類の生産において、以下のことが環境問題の原因になっており、SDGsの観点では、これらの問題解決が求められています。

  • 製造するために多くの水が必要
  • 製造や処分の際に二酸化炭素が排出される
  • 服の素材には農薬などの化学物質が使用されている

環境問題

環境問題の原因は、製造工程において多くのエネルギーや資源を消費することです。

合成繊維を生成するには、多くのエネルギーが必要とされ、二酸化炭素の排出量は綿の3倍以上あります。また、衣類の製造には大量の水も必要であり、綿花を栽培するにはさらに多くの水が必要です。

アパレル業界が抱える問題の「大量生産・大量消費・大量廃棄」となると、生産の際、さらに多くのエネルギーや資源を消費し、廃棄の際も同様で多くのエネルギーが使用されます。

(出典:服を手放す手段の分布|環境省

再生可能エネルギーの利用やリサイクルなど、ゴミの排出量を抑える取り組みで環境に配慮できるでしょう。

海洋汚染

海洋汚染の原因は、繊維や染料などに含まれる化学物質やマイクロファイバーが流出することです。

海洋汚染は最も深刻な問題とされています。マイクロファイバーが海に流出すると、自然分解されず蓄積し続けます。それを魚が口にすることで魚自体に影響が出るだけではなく、食物連鎖によって人間にも影響を及ぼすこともあるので危険です。

プラスチックの使用量の削減や、流れても安全な原料を使用することで水質汚染を防げます。

労働問題

労働問題の原因は、低賃金での長時間労働や、整ってない劣悪な環境での労働です。安価な服を大量生産するためには多くの労働者が必要であり、コスト削減の対象にされています。

労働問題の事例として、2013年にバングラデシュで起きた「ラナプラザの悲劇」があります。人気のファストファッションの縫製工場が入ったビルに崩落の危険があったにもかかわらず業務を続けさせ、作業中にビルが倒壊し、多くの労働者の命が奪われました。

この事故の犠牲者には若い女性も含まれており、劣悪な環境での労働が背景にうかがえます。この事故をきっかけに、労働環境や人権問題の改善などが行われています。

 

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SDGsへのアパレル業界の取り組み

SDGsへのアパレル業界の取り組みは、以下のとおりです。

  • 「5R」 を意識して無駄を削減
  • 環境に配慮した素材や製造過程
  • 労働環境を守るフェアトレード

環境問題と労働問題は、アパレル業界が抱えている大きな問題です。関係性が高いSDGsの17の目標と照らし合わせながら解説します。

「5R」を意識して無駄を削減

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」に関連して、「5R」を意識した無駄を出さない取り組みが行われています。

「5R」とは「REUSE(リユース)・REDUCE(リデュース)・RECYCLE(リサイクル)・REFUSE(リフューズ)・REPAIR(リペア)」の頭文字から構成されており、内容は以下のとおりです。

リユース(再使用)まだ使用できる衣類のロス削減のため、リサイクルショップや必要としている人への寄付などを行い、再利用すること。
リデュース(削減)衣類の廃棄量削減のため、1枚の服を長く使えるものにすること。
リサイクル(再資源化)資源を大切にするため、使用済みの服やペットボトルなどを資源に作り変え、新しい服を作る材料として再利用すること。
リフューズ(拒否)不要なものやゴミになってしまうものを、始めから「いらない」と断ることでゴミを出さないようにすること。
リペア(修理)使えなくなったらすぐに買い換えるのではなく、修理しながら使用し続け、無駄な消費を減らすこと。

「5R」実現のためには、さまざまな企業と協力しながら仕組みや技術を作り上げ、取り組むことが必要です。そのため、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」も関係性が高い目標といえるでしょう。

環境に配慮した素材や製造過程

SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連し、環境に配慮したエネルギーや素材を利用する取り組みが行われています。

無農薬のオーガニックコットンの使用や、環境に配慮した素材を開発することが求められています。

製造工程においても、必要な資源である水や電気などの無駄を軽減し、環境負荷を抑える取り組みが問題の解決につながるといえるでしょう。

労働環境を守るフェアトレード

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標16「平和と公正をすべての人に」に関連し、労働者の人権を守るために安心して働ける環境づくりが行われています。

労働者の人権や環境を守るためには、フェアトレードが重要といえます。フェアトレードとは、貧困のない社会にするために、途上国の生産者と先進国の消費者が経済格差にとらわれず、対等な立場で行う公正な貿易のことです。

労働に見合った適正な賃金の支払い、安心・安全に働ける労働環境の整備が目的とされています。

 

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SDGsの取り組みを行うアパレル企業一覧

ここでは、実際にSDGsの取り組みを行っているアパレル企業をご紹介します。

  • ユニクロ
  • 無印良品
  • パタゴニア

衣類を製造するうえで避けられない環境問題や労働問題に対して、さまざまな企業が問題解決に向けて自社で可能な取り組みを行っています。自社でSDGsを検討する際の参考にしてみてください。

ユニクロ

ユニクロは、リサイクルやリユースのための回収ボックス設置や、資源を大切にしたサステナブルな商品開発に取り組んでいます。

無駄を出さないために商品の値下げを行ったり、翌シーズンに持ち越したりと最終的に売り切ることで廃棄しない方針を掲げているのです。シンプルで機能性の高い服を製造することで、長く愛用してもらうことも目指しています。

人権尊重にも着目しており、生産者が安心して健康に働ける環境づくり、難民への就業や衣料支援も行っています。

無印良品

無印良品では1980年にブランドを創生して以来、地球環境や生産者に配慮した素材の選択や、廃棄物を減らすために包装の簡略化などを行いながら製品の製造が行われています。

廃棄物を減らす取り組みとして「POOL」プロジェクトがあります。「POOL」プロジェクトとは、製造過程で生まれるハギレを利用し、別の新しい商品を作り出すものです。

また、UD(ユニバーサルデザイン)を採用し、年齢や性別などを問わず、多くの人が利用できるデザインを実現しています。

パタゴニア

パタゴニアでは、エネルギーや水における無駄の削減、オーガニック素材の使用、環境保護のために売上の1%を寄付するなど、環境へ配慮した取り組みを行っています。

2022年9月にパタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏は、自身や家族が保有する株式をすべて環境保護団体に寄付。「地球が私たちの唯一の株主」と宣言し、今後の利益も環境保護に充てる方針を発表しているのです。

また、製品を長く使用してもらうために耐久性を重視して製造、リペアサービスを行うことで無駄を減らし、ゴミの発生も抑制しています。

労働者に配慮した取り組みは、フェアトレードや外国移民労働者の雇用です。安全な労働環境を維持し、適切な生活水準を満たせる賃金により、労働者の人権を大切にしています。

社会的責任として衣類がどのように作られているかを公開し、製品についての説明責任も果たしています。

SDGsはアパレル業界に限らず取り組める

SDGsはアパレル業界に限らず、企業が成長するうえで欠かせない重要な取り組みです。より良い社会の実現のために、積極的にSDGs導入を検討しましょう。

弊社は、SDGsコンサルティングサービスを行っています。自社で導入する際の参考に、ぜひご活用ください。

 

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参考(出典):

注1 サステナブルファッション|環境省

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

注2 SDGsとは?|外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html


ーこの記事を書いた人ー

堀田蔵人

COO

堀田 蔵人

(KURODO HOTTA)

1988年生まれ。東京都出身。

大学卒業後は伊勢丹グループ会社に入社。営業・事務・システム等の幅広い業務を経験する。29歳の時、さらに自分が成長できる環境を求めて、大学の同級生の豊泉が代表を務めるBuyingへ転職。Buyingでは、全国の中小企業のコスト削減支援を担当。約4年間で累計1億9,151万円の削減に成功する。現在はCOOとして、会社全体の業務を統括する。

社内ではWEB広告運用等を担当する傍ら、実務ではコスト削減支援のみならず、都内の大手社会福祉法人への顧問コンサルティングも行っている。

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